加害企業を免罪する「チッソ㈱分社化」に再び反対する緊急声明

今国会に水俣病に関する特別措置法案が、与党および民主党からそれぞれ提出され審議されてきました。

私たちは、本年3月、与党案に盛り込まれた公害指定地域解除と加害企業チッソの分社化に反対する声明を共同で発し、熊本県知事、環境大臣、チッソ㈱に対 し直接要請をしてきました。長年、水俣病に苦しんできた被害者として、水俣病問題の解決に逆行し、水俣病の加害者であるチッソ㈱、国、熊本県の責任を免罪 することを目的とする法案について、座して看過することはできないとの思いからでした。

ところが、この間の報道によれば、与党と民主党との協議が、実務者から国対委員長および政調会長レベルに「格上」されたことにより、与党案をベースにし た修正で基本的に合意したとされています。公害指定地域解除が削除されたり、救済の範囲を広げる方向での協議が続いていると報道されていますが、チッソ㈱ 分社化は維持されており、法案の本質は、この3月と何ら変わりはありません。

私たちは、加害企業チッソ㈱が歓迎し、被害者はさらなる苦渋を迫られる、チッソ㈱分社化を絶対に許さないことを再度、表明するものです。

少なくとも格上げされた与党と民主党の協議メンバーは、いちばんの当事者である水俣病患者の意見、実情を直接聞くべきです。患者の意見を聞くことなく、 「国会対策上」の妥協をするならば、水俣病の苦難の歴史にかつてない最大の汚点を残すことになります。また、国会は法案審議にあたり被害者団体に賛否両論 ある中、患者団体代表の意見を聞く正式な場を設けるべきです。

解散、総選挙を控えた、国会会期末のあわただしい中で、当事者の意見すら聴かず、拙速な判断をすべきではありません。あらためて、最大限の議論をつくすよう、与党および全野党に要求するとともに、国民のみなさんのご理解を心からお願いするものです。

2009年7月2日

水俣病互助会 会長 諌山 茂
チッソ水俣病患者連盟 委員長 松崎忠男
水俣病被害者の会 会長 森 葭雄
水俣病不知火患者会 会長 大石利生
水俣病被害者互助会 会長 佐藤英樹
水俣病患者連合 会長 佐々木清登
水俣病被害者の会全国連絡会 幹事長 橋口三郎
水俣病患者の会 会長 濱元二徳
新潟水俣病被害者の会 副会長 小武節子
新潟水俣病阿賀野患者会 会長 山﨑昭正
水俣病・東海の会 会長 國崎イネ

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