2006年度 理事会報告

2006年5月28日 開催

2005年度活動報告
2006年は水俣病公式確認から50年という節目の年であり、それに向けて本格的な活動を行う予定であった。しかし、水俣に降ってわいた産廃最終処分場問題と関西訴訟最高裁判決以降の患者補償問題などに多くの手を取られ、思うような活動ができなかった。しかし、その中でも「ユージン・スミス写真展」と「鬼塚巌写真・映像展」を開催できたのは特筆に値するだろう。
水俣産廃問題については2006年2月の市長選において、「産廃絶対反対」を唱えた宮本勝彬氏が多くの市民の賛同を得て当選した。市長の交代によって産廃建設が中止するわけではないが、反対派市民は大いに勇気づけられている。
関西訴訟判決以降、相思社には患者からの相談が続いている。できるだけ、ていねいに対応していることもあって、今まで水俣病や相思社を避けていた人々が、相思社を訪れ、水俣病に向き合うようになっている。このことは相思社にとっても、地域にとっても画期的なことと言えるだろう。
考証館は開館以来初めて本格的な展示替えを行った。これによってここ十年来の水俣の動きが展示に反映されるようになった。

2006年度活動計画
〈財政改革について〉
相思社は今も多くの課題を抱えている。2001年答申を踏まえて、活動面においては「患者とのつきあい」、「水俣病を伝える」、「水俣病の経験を生かした地域づくり」の取り組みを続け、それなりの成果をあげている。しかし、その他の課題の中には手つかずのものも多い。「抜本的な財政改革」や「旧生活学校・湯の児台地の活用」などであるが、今年度は財政改革の一翼を担うであろう物販部門の強化に向けて「物販プロジェクト」を立ち上げることにした。

〈老朽化した建物の改築について〉
相思社・考証館の建物はすでに建設から30年以上を経て老朽化し、一部は危険な状態にある。2005年度から改築のために積立預金を始めたが、2006年度は積立額を増やし、2007年度のなるべく早い時期に考証館・受付けの部屋の全面改築することとした。

〈その他〉
2007年度には評議員会を設置することになっており、秋の理事会までに骨格案を作ることとした。水俣病50年事業としては秋に南アフリカからソエトの人びととの交流を計画している。
4月、6月にベテラン・中堅の職員が退職したことによって、既存の事業の実施さえ危ぶまれる状況となっている。スタッフ職員の募集を続ける一方で、パート職員の能力の活用とスタッフの自己能力の開発によって、当面は乗り切っていくしかないことを確認した。

(弘津敏男)

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