生産者インタビュー



宮崎成正さんミヨシさん

<相思社と宮崎さんの出会い>
相思社の理事でもある、相良村の緒方医院院長の緒方俊一郎さんは、地域の医者として農薬による中毒に長年係わる中から、「食べものと健康の集い」という学習会を開いてきました。宮崎さんはその会のメンバーであり、緒方さんの紹介で相思社と宮崎さんは出会いました。


2007年 春
 熊本県の南部に位置する球磨郡相良村。標高400から1300メートルの台地が連なって広大な山林を形成し、清流・川辺川が北から南へ貫流しています。
 相良村は「茶の里」として有名で、熊本県下で最大の生産量を誇っています。川辺川から立ち上る川霧が、コクのあるお茶を作るのです。
 その相良村で、宮崎さんがいち早く無農薬でお茶づくりを始めたのは、およそ30年も前のこと。きっかけは農薬中毒になったことです。絞られるような酷い吐き気が宮崎さんを襲いました。そのとき診察した緒方俊一郎医師の強い勧めで、無農薬栽培を始めたのです。
 宮崎家は川辺川のほとりにあり、そこから車で10分ほど走った川辺川を見下ろす高原(たかんばる)台地に茶畑があります。青空の下に一面茶畑が広がっています。




清流・川辺川




宮崎さんの家とケヤキの古木



高原台地に広がる茶畑


 
「お茶づくりは奥の深い仕事じゃもんで」と宮崎さんは語ります。

 栽培を工夫しても、お茶の味は一、二年では変わらないそうです。二○年、三○年という長い年月の努力が美味しいお茶を生み出します。宮崎さんはとても研究熱心で、無農薬でも味にこだわり、日々工夫を重ねています。
 目指すのは、コク、甘味、とろみ、そして「重さ」があるお茶です。摘んだ茶葉は柔らかく、握ると弾力性があります。まるで宮崎さんの人柄そのままの、優しくしなやかな茶葉です。

  「肥料が効いていないお茶は、葉が早く開きますが、パサパサしたお茶になります。お茶は手をかけただけ応えてくれるとです」

 相思社に出荷しているのは、その中でも一番良質なお茶なのです。

「美味しいのは、芽を出したて、黄色い新芽が緑色になる直前です。小さか時の、味の良か時のを相思社には出しています」

 何と、相思社に出荷するための茶畑の場所も決まっているとのこと。

「あの辺はいいお茶ができるような気がすっとですよ」

 有機栽培農家の経営はなかなか厳しく、無農薬茶としての流通ルートが確立していないために、宮崎さんの無農薬茶の大部分が慣行栽培と同じルートで出荷されています。無農薬茶を選んで買ってくださる相思社のお客さんは、生産者にとって本当に有難い存在。だから宮崎さんも毎年とっておきの茶葉を出荷します。
 相良村でも高齢化が進んでいますが、宮崎さんは
「村の仲間と一緒に元気な村を作る活動に取り組みたい」と意欲的です。お茶づくりも村づくりにも、ますます頑張る宮崎さんを応援してください!


インタビュー(2005年5月)    「重さのあるお茶をつくりたい」
高嶋:宮崎さんはお茶づくりでどんな工夫をしていますか。

宮崎:肥料は米ヌカとナタネ粕で、米ヌカは精米所と契約しています。良質のでんぷんはアミノ酸分解でお茶の味をよくするのではないかと思います。ナタネ粕は変な薬が入らんように一番搾りの油を絞った後のものを使っています。米ヌカをまくのは、必ず自分でします。人に任せられないです。茶畑をよく見て、列ごとに施肥の量を決めます。

高嶋:牛を飼っているのに牛フン堆肥は使わないんですね?

宮崎:牛フンは、チッソ分が多すぎて硝酸体チッソになってしまい、お茶によくないので使いません。牛用の飼料畑に入れたり、近所の農家とワラと交換していますよ。


「飼っている搾乳牛は約30頭。酪農は大変なので、65歳になったら肉牛、鹿児島の黒牛をやろうと思っています」と語る宮崎さん



宮崎さんのお茶を加工する工場。


宮崎さんの茶畑
高嶋:どういう葉がおいしいお茶になるんですか?
宮崎:芽を出したての黄色い新芽が緑色になる直前ですね。葉緑素が出てくる直前がうまいです。でも、あまり早くても味が出ません。それから肥料が効いていないお茶は、葉が早く開くのですが、パサパサしたお茶になってしまいます。お茶は手をかけただけ応えてくれると思います。相思社には時期の一番はじめに摘んだ、葉の小さないいものを出しています。

高嶋:大変なことは何ですか?
宮崎:やっぱり一番大変なのは、かずら取り、草取りですね。害虫は、防霜ファンを入れてからダニがつきにくくなりました。

高嶋:宮崎さんはどんなお茶を目指しているんですか?
宮崎:自分がお茶に求めているのは、無農薬であっても味です。味を求めていきたいと思っています。コクがあって甘みがあって「重さ」があるお茶が、自分の理想です。「重さ」というのは、のどごしにしっかり存在感があるお茶です。

高嶋:今年のお茶はどうですか?
宮崎:今年のお茶は冬から春にかけての寒さで、できあがりの時期は少し遅くなりましたが、収量もよかったし、質もこれまでで一番よかったのではないかと思います。
 今年は、お茶づくりの最初の工程の蒸しを去年より浅くしたので、とてもまろやかなお茶になっているかなと思います。






   
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