水俣病は、工場排水中のメチル水銀に汚染された魚や貝などをたくさん食べることによっておこったメチル水銀中毒です。空気や食物を通じてうつる伝染病ではなく、遺伝することもありません。水俣病は1956年(昭和31)に公式確認され、1968年(昭和43)に国がチッソ株式会社(以下チッソ)による公害と認めました。
体内に入ったメチル水銀は、主に脳など神経系を侵し、手足のしびれ、ふるえ、脱力、耳鳴り、目が見える範囲が狭くなる、耳が聞こえにくい、言葉がはっきりしない、動きがぎこちなくなるなど様々な症状を引きおこします。水俣病の発生初期には、狂ったような状態や意識不明になって、発病から1カ月以内に亡くなるといった重症者もいました。
また、見た目にはわからなくても、頭痛や疲れやすい、においや味がわかりにくい、物忘れがひどいなどの症状で、日常の暮らしに困る慢性型の患者もいます。汚染された魚を食べた母親の胎内でメチル水銀に侵され、障害を持って生まれた胎児性水俣病患者も発生しました。 水俣病の根本的な治療法は今のところ見い出されていないので、それぞれの症状に対する対症療法や機能訓練などがおこなわれています。身体的な被害の他に、水俣病に関係して差別を受けるなどの社会的な被害もおこっています。