もやいとは、もともと船をつなぐことや共同でことを行う意味です。人と人との関係、自然と人との関係がいったん壊れてしまった水俣で水俣病と正面から向き合い、対話し協働する取り組みを「もやい直し」と名づけています。
水俣病が発生した当時、水俣病患者は伝染病や奇病と疑われ、近所づきあいを断られるなど大変つらい思いをしました。その後、原因がチッソの排水中の水銀であることがはっきりしても、チッソに頼る市民から、患者は裁判や補償でチッソをおびやかす存在としてうとまれてきました。
また、認定申請した患者の中に「ニセ患者」がいるとの、あらぬうわさも流されるなど、補償金にまつわる差別やいやがらせも生まれました。水俣市が経済的に依存してきたチッソが原因で水俣病が発生したり、チッソの大きな労働争議も重なったため住民間の対立が激しく起こり、立場が違う人とは対話が途絶えた状態が長く続きました。
しかし、近年そうした過ちを乗り越え「対立からは何も生まれない」ということに気付いた行政・市民・被害者は、対話や催しを積み重ねながら水俣の再生に向かって行動しています。