「水銀に関する水俣条約批准に向けた能力強化」研修

2014年度九州JICA課題別研修

「水銀に関する水俣条約批准に向けた能力強化」研修コースについて

日本では、水俣病事件の経験を活かし、1970年代以降、比較的厳しい水銀規制がおこなわれてきました。しかし世界の水銀汚染の現状をみてみると、小規模金採掘や石炭燃焼等による汚染拡大が深刻な問題となっています。

2013 年10月、熊本市と水俣市で開催された外交会議において、水銀によるリスク削減のための「水銀に関する水俣条約」が全会一致で採択され、92か国(含む EU)が条約への署名をおこないました。この条約は50か国が締結してから90日後に発行する規定になっています。発行によって、一挙に世界から水銀汚染 が一掃されるわけではありませんが、そのための第一歩として欠かせない国際条約であると相思社は考えています。

相思社はこれまで、水俣 病事件に関する調査研究を推進するとともに、水俣まち案内や環境・公害学習のお手伝い等を通じて、その成果の普及・活用に努めてきました。これらを通じて 培った知識や経験、ネットワークを活かして、2014年度より、相思社は「水銀に関する水俣条約」の批准に向けた能力強化のJICA研修プログラムを運営 することになりました。この研修を通じて、私たち相思社も、水俣学習や研修運営のレベルアップやネットワークのさらなる拡大を図ることができると考えてい ます。

このコースは、JICAより相思社が全面的な事業受託を受けて運営するものです。実際の研修の実施に際しては、水俣市、熊本県、環境省をはじめ、関連する多くの団体・個人のご協力をいただいています。

水銀に関する水俣条約批准に研修生たちの国々が動くためには、まず研修生自身が水俣被害の現場と水俣条約を結びつけて理解し、課題の重要性をリアリティをもって受けとめることが必要でしょう。そのために相思社のもつ経験とネットワークが役立てられればと考えています。

研修コースの概要

(1)コース名
平成26 年度課題別研修「水銀に関する水俣条約批准に向けた能力強化」

(2)研修の目的
「水銀に関する水俣条約」(以下、水俣条約)批准にかかわる行政官を主な対象に、水俣条約批准に向けた法整備等の手続き及び日本の取り組み事例についての理解促進を図り、各国で必要となる取組及び課題が把握されることを目指す。

(3)研修の到達目標(単元目標)
1)水俣条約制定の背景や具体的な内容について理解し、水俣条約の要点(目的及び内容)を説明できる。
2)水俣条約を批准するまでの手順を理解し、自国で取り組むべき準備作業を説明できる。
3)日本の水銀汚染の歴史的背景とその対策事例を理解し、自国おける課題と対応策について議論できる。

(4)研修内容
1)研修項目
本 コースのカリキュラム構成は、概ね以下の項目からなる。本邦到着時に提出されるジョブレポートにおいて抽出された課題・問題点を念頭に置き、講義で学んだ ことについて自身で考え、視察・見学で実例を以て確認し、議論を通じて理解促進を図ることを基本プロセスとする。その結果、課題解決のための提案ができる ことを目指す。

(ア)ジョブレポート発表会・議論

(イ)水俣条約の概要

  • 条約の意義・内容・交渉経緯
  • 国際機関の取り組み
  • 関連条約との関係

(ウ)水俣病の経験と教訓

  • 日本の公害史と環境政策
  • 日本の水銀公害の歴史
  • 水俣の再生の取り組み

(エ)日本の水銀対策

  • 水銀の管理体系(基準・規制等)とマテリアルフロー
  • 排出削減とモニタリング(排出インベントリ)
  • 製品及び製造プロセスの適正管理
  • 水銀廃棄物対策

(オ)条約批准に向けた課題

  • 日本の水俣条約批准の準備作業
  • 途上国における水銀対策
  • 情報発信、啓発及び教育

(カ)アクションプラン発表会

  • アクションプラン作成、発表

2)研修方法
プログラムは英語で実施する。通訳が必要な場合は、JICA が別途コースに配置する研修監理員がこれを行う。

(ア)講義:
テキスト・レジュメ等を準備し、必要に応じて視聴覚教材を利用して、研修員の理解を高めるよう工夫する。

(イ)演習・実験/実習:
講義との関連性を重視し、テキストを参照しながら講義で学んだ内容の確認と応用力を養えるように工夫し、帰国後の実務により役立つことを目指す。

(ウ)見学・研修旅行:
講義で得られた知見をもとに関係者との意見交換を通じて、事業実施において実践可能な知識・技術を習得できるように努める。研究機関だけでなく民間会社等への訪問も含め、より適応範囲の広い技術が習得できるよう工夫する。

(エ)レポート作成・発表:
各レポートの作成・発表にあたっては、各研修員の問題意識について研修員・日本側関係者間で相互理解を深めるよう配慮し、あわせて帰国後の問題解決能力を高めるよう努める。

3)研修付帯プログラム(JICA が実施するプログラム)

(ア)集合ブリーフィング
来日時事務手続き、滞在諸手当の支給手続き等についての説明を通常来日の翌日に、実施する。

(イ)ジェネラルオリエンテーション
技術研修に先立って、日本滞在中の必要知識として、我が国の歴史、社会制度等についてオリエンテーションを行う。

(5)研修員

1)定員
10 名

2)研修対象国
中華人民共和国、タイ、ソロモン、ブラジル2人、エクアドル、クック諸島、ケニア3人

3)対象組織
水俣条約批准に係る政府機関担当部局

(6)技術研修期間
平成26 年11 月27日から12 月17日

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