2001年度 活動報告

2002年5月26日 理事会

はじめに
昨春の理事会において、「転換期を迎えた相思社の活動のあり方」(今後の相思社を考える検討委員会答申)が提出され、今後この答申に沿って相思社の運営を進めていくことが確認された。
昨秋の理事会においても報告されたが、すでに部分的には答申にそった活動も始まっている。
「答申」を具体的な活動の指針とするべく検討を開始したが、新しい職員は水俣病や相思社の歴史をよく知らず活発な議論にはならなかった。そのため、まずは水俣病の歴史、相思社設立や活動の経緯の学習と1989年答申、2001年答申を読むことを職員研修として続けてきた。
2002年度から本格的に2001年答申を計画・活動に盛り込んでいきたい。
1998年に後藤弁護士から湯之児の土地の寄贈を受けた。寄贈の条件として「5年以内に事業に着手する」との項目があり、徐々に期限が近づきつつある。先に提出された「湯之児活用検討委員会」の答申をもとに、今後具体的な活動計画を作成する必要がある。
額は大きくはないものの、毎年のように赤字が積み重なり、徐々に財政が逼迫してきている。資金繰りも厳しくなり、従業員組合から二度にわたり100万円を借り入れた。

☆事業部
[考証館・環境学習・グリーンツーリズム]
1  考証館
1月に若干の展示替えを行った。汚れて見にくくなったパネルを取り替え、水銀国際会議で作成した、水俣病センター相思社、水俣湾埋立地、水俣病40年目の政治決着、チッソ水俣病関西訴訟、水俣グリーンツーリズムに関する簡易パネルを7枚追加した。
相思社の役割の中での考証館の使い方については、当面簡易パネル形式で随時展示を更新し、水俣病事件の経験から現在の水俣で行われていることを伝えていくことを目指す。

2 環境学習
2001年度、地球環境基金に「水俣病事件から環境問題を学ぶための環境教育プログラム実践」で助成申請をし、180万円の助成を受けた。
ごんずいのがっこうは、「うみ・ひと・いのちのよみがえりを感じよう」をテーマに8月24日から26日の2泊3日でおこなった。参加者は愛知、広島、大阪、熊本からの5名であった。
募集人数の15人には満たなかったが、5人という人数は今回のような体験型の企画を行うには適当な人数であった。参加費用は31500円であったが、参加者からは「中身を考えると適当」という感想をもらった。今回は講師料などを地球環境基金の助成でまかなったが、企画の質の高さと持続可能な価格設定について、今後も検討が必要である。
8月31日から9月5日には、水俣環不知火海調査モニターツアーを実施した。これは相思社の地域調査の一環として、地球環境基金の助成を受けてこれまで水俣市久木野、茂道で実施した調査の継続である。今回は御所浦町の横浦と大浦、水俣市宝川内と仁王木で各地からの学生等の参加を得て、あるもの探しや聞き取り調査をおこなった。今回の調査は、地域情報の蓄積の他、学生達にとって水俣への新しい窓口ができたことの意味があった。
学校の受け入れについては、県内の小中学校や過去の来訪校に対して、「水俣環境学習の手引き」を送付し、通過型ではない、時間をとった体験型の学習プログラムの普及に務めた。秋には県内および久留米市から計12校の小学校を受け入れた。10月の水銀国際会議開催中の受け入れを断ったために、例年より若干減っている。
修学旅行では、少人数・体験・滞在型として、今年で4年目の法政大学付属第2中学校を9月に、水俣をはじめてコースに組み込んだ神奈川学園高校を11月に受け入れた。その他修学旅行では、秋と3月に、関東の高校7校を受け入れた。通過型で水俣で十分時間がとれないケースが多いため、今後、水俣での時間を確保するよう学校へ働きかけていくことが必要である。

3 グリーンツーリズム
10月に、屋久島のエコツアー会社「自然島」のツアーコーディネイト・案内を受けた。水の巡りをテーマに、石飛から茂道を巡り、時間をかけて楽しむ農家の食事や患者の話を聞くことを取り入れた、1泊2日のモデルとなるツアーを実施することができた。
1月には、毎年恒例になっているPHD協会の水俣研修において初めて、あるもの探しを石飛で行った。アジア・太平洋地域の村の青年が対象だが、村の生活とも重なる自然とともにある暮らしの素晴らしさを再認識することにより、近代工業化とは異なる自立した村づくりと生活向上に向けた研修となった。水俣は、水俣病という負の教訓だけでなく、ごみの取り組みも含めて、プラスの発信を行えるまちに脱皮したと言える。

4 受託事業
1999年から続いているJICAの水産研修を、2月上旬に3泊4日で行った。水俣案内、市長表敬訪問、漁業組合長講話、原田正純氏講演、国水研見学、佐々木清登さんと杉本栄子さんの話に加えて2001年度初めて職員との交流会を行った。後から届いた研修生の水俣評価では、特に国水研見学と杉本さんの話が評価が高かった。

5 湯の児
湯の児活用検討委員会の提言に基づき、2001年度、後藤氏の寄付条件の一つでもある、水俣病のメモリアルとしての場所づくりに必要な活動拠点の整備のため、平坦地を含むエリアに作業小屋をつくることを予定していたが、技術者と道具と資金が必要なため、具体的な作業には取りかかれなかった。
森づくり、フィールド整備については、「緑と水の森林基金」に応募したが不採用となった。
3月に熊本県森林整備課の視察を受け、今後の計画の立て方について助言をもらった。県の森づくりの助成金を活用しながら、芦北地域振興局の林務課や地元の林業家等の協力で整備を進めていくことを考えている。
維持会員への働きかけとして、環不知火海200年計画への参加呼びかけ(資金カンパ、植林参加、小屋作り、調査)は、結局行うことができなかった。一つは資金が調達できなかったこと、もう一つには小屋作りにこだわり過ぎて活動の提案が硬直状態となってしまったことがある。

6 教育旅行誘致促進協議会
2001年度を最終年度として民間移行の年であった。遠藤が東急観光のエージェントと大阪地区の中学校教育旅行担当者の交流会に参加した。大阪の中学校は費用的には南九州が可能になっているが、水俣の受け入れ体制に不安があるようだ(例えば宿泊や体験学習の規模など)。
2002年度には湯の児観光協会と湯の鶴観光協会が一緒になって、水俣観光協会を立ち上げる計画だが、その発足のための準備集会への市内関係者の参加はきわめて低調であった。また商工観光課で行った「水俣の観光の可能性」を調べる委託調査は、すでに水俣で行われてきたことや、地域の特性をあまり考慮していない一般的調査の域をでておらず、ここから「水俣らしさ」を出していくのは難しい。

[資料収集・整備・活用]
今年度からホームページを通じて大学生や院生に、相思社所蔵資料を活用して論文の作成を呼びかけたが、思ったほどの反応はなく、数名の学生・院生が短期に宿泊し、資料室を利用した程度にとどまった。
水俣病情報センターを通じて資料データベースを公開する予定だったが、国水研が水銀国際会議に作業を集中していたため、2001年度内にはデータベース公開はできなかった。
1、資料収集について
例年行っている作業は継続して行っている。患者や水俣病関係者からの聞き取りはごんずいや小冊子作成のために行ったもの以外はできていない。
2、資料整理・データ入力について
資料整理・データ入力は今年度も継続して作業を行っている。国水研との契約は昨年と同じ条件で、上半期・下半期に二分割し、合計6,500点を納品した。
また、データベース公開を前提として、1997年に納品したデータベースの再点検を行った。この作業は年度内には収まらず、一部2002年度に持ち越した。
3、国水研及び水俣病情報センターについて
2001年6月に水俣病情報センターが開館したが、水俣病関係資料収集・整理・情報発信の部分に関しては作業が立ち後れている。情報センター所蔵資料・新聞記事のデータベース化が一部進行している程度にとどまっている。
4、新聞記事資料の整備について
資料室には約50,000点の整理済み新聞記事と10万点近くの未整理記事が保管されているが、来年度以降に助成を受けて徐々に整理、データベース化していきたい。2月に地球環境基金助成を申請した。また、インターネットを通じて無料で入手できる記事や記事見出しについては適宜収集している。
5、資料検索・提供システムについて
情報センターを通じてのデータベース公開は2002年度に持ち越されることになった。入力データを漸次更新していくためには、情報センターを通じてのデータベース公開と平行して、将来的には相思社独自のサーバーを持つことを考えたい。
大阪人権博物館と水俣フォーラムへの新聞記事資料提供は継続して行っている。

[患者]
2001年度から川部を患者担当の補佐とした。今後の「患者とのつき合い」を考え、連盟の会費集金(女島)や大きな患者の集まりには参加するようにしている。
97年1月から始まった患者連合・被害者の会・平和会の三団体による共同行動は2001年度も継続して行った。しかし、三団体とも会長クラスが入院するなど、患者の体調不良もあり活発な活動とは言い難い状況となっている。
一方で共同行動により、毎年少しずつは成果が上がっている。2001年度には医療手帳の更新が簡素化され、有効期間も3年から5年に延長された。
関西訴訟は2001年4月に控訴審判決があり、行政責任を一部認め、病像論においても原告側の主張をかなりの部分で取り入れるなど患者側の主張を多く認めた。国と熊本県は判決内容を不服として上告した。一方、チッソは上告を断念したためチッソに対して上告しなかった原告については判決が確定した。原告のうち、一審判決の認容額を減額された6人と一審で請求を認められながら高裁判決で棄却された2人の計8人はチッソを相手に上告した。国・県の上告後、関西訴訟を支える会を中心に国・県の上告取下を求める運動が展開されている。
2000年度に「ブラブラ」「ゴロゴロ」等の記述が熊本県の疫学調査書に記載されていることが判明し、問題となったが、その調査結果が2001年5月に発表された。この調査結果からも熊本県が認定申請者に対し、予断と偏見を持っていたことがわかった。
2001年10月に関西訴訟での証言を巡って、東京の支援者が井形昭弘氏を告訴した。
また、2001年12月に新たに棄却取消訴訟が提起され、2002年3月に審理が開始された。
連盟や連合の事務局としての業務は例年どおり行った。
連盟や連合以外の患者からの相談は特定の人を除いて年間10件程度あった。
「患者とのつき合い」「対象を不知火海一円に広げる」との方針の下、獅子島調査を開始したが、思っていた以上に水俣病に対する偏見が今もあり、連盟や連合の会員のいない地域の調査にはじっくりと時間を掛けていく必要がある。

[調査研究]
1 三重県自治会館組合研修
三重県内の今年で3年目を迎えた自治体職員を対象とした研修である。研修講師としては水俣で始められた地元学を使って、自治体職員に自分の足下を調べる手法を提供するものである。相思社としては講師料の収入となり、また各地で積極的に活動をしている人々と知り合いになれるチャンスである。
課題としては、研修のマニュアル作りや報告書の定型化などがある。

2 会議参加
2001年11月国際湖沼会議NGOフォーラムの、琵琶湖博物館で行われたワークショップに対談者として遠藤が参加した。以前にごんずいに寄稿してもらった嘉多由紀子氏との付き合いから呼ばれた。さらに2月には2002年度に開催される国際水会議の、NGO会議「子どもを育てる川と地域再生」のプレ会議にパネリストとして参加した。水俣病の教訓を、子どもの暮らしや地域再生にどのように活かすのかという視点を提供した。

3 森づくりに関する助成
湯の児の土地活用、森の整備のため緑と水の森林基金に申請したが、不採用となった。来年度、熊本県の「県民参加の森林づくり」やイオンの助成申請の手続きをしていく予定である。

4 地球環境基金
今年度、「水俣病事件から環境問題を学ぶための環境教育プログラム実践」活動に180万円の助成を受けた。地球環境基金の助成による活動は、今年で3年目になる。
環境教育実践に必要なOHP、スライド、カヌー等を購入した。また、ごんずいのがっこう、環不知火海調査モニターツアーを助成活動として実施した。

5 水銀国際会議
2001年10月に開催された水俣水銀国際会議に併せ、内外から来訪する研究者を対象として下記《資料》のような英語での企画を実施した。
メイン企画である講演会・シンポジウムは、外国人に対して水俣病事件の政治・社会・歴史的側面を伝えるにあたり最善の講師陣に来てもらえ、知識だけに留まらない事実・歴史の重みを伝えることができた。それだけに、外国人の参加が少なかったことが残念である。外国人が少なかった理由は、国際会議の参加者自体に水俣病事件の社会的側面への関心が薄かったことやテロ事件の影響が考えられる。
パネル展示は小展示ではあったが、書籍販売コーナーと合わせ、物産テントの中で最も充実したブースとなっており、相思社の存在と主張を強くアピールできた。現地ツアーは、ほぼ定員を充足し、「メインイベントとなった」という感想もあるなど好評であった。
収支については、助成金対象とならない部分を収益でカバーすることができたが、英語書籍の販売数が思ったように伸びなかった。
相思社としては久しぶりの一般に開かれた催しであり、広報チラシの配布も含めて、相思社をアピールすることができたことや、内部的にも、こうした活動が少なくなっている中、若い職員の経験の場になったことの意義は大きい。

[地域活動]
1 水俣せっけん工場経営委員会
水俣せっけん工場は設立から15年が経過した。しらぬひせっけんの販売が伸び悩んでいるが、ヨモギや馬油など新しい固形石鹸を開発し、販売に取り組んだ。財政状況を改善するためにミニプラント販売に頼らず、液体石鹸等新製品の開発を進めることになった。

2 ごみ減量女性連絡会議
2001年6月までに2000年度からの課題であった子供向けのごみ減量紙芝居を完成させ、連絡会議で上演を続けると共に、貸出もおこなってきた。
2001年9月には小里を含めた有志による山形県長井市への視察をおこなった。長井市では、市民と行政の協働の取り組みであるレインボープランにより、家庭からの生ごみを堆肥化し、有機農業を広げ、地産地消を進めていた。水俣市で生ごみ分別が予定されているが、生ごみ分別にはごみ減量の視点だけでなく、循環型社会の構築という視点こそが必要であると報告会を開いた。
担当者の異動で、事務局である環境対策課の動きが鈍くなり、トレイ廃止協定実施状況の監視やエコショップへの働きかけが弱くなっている。行政との協働のあり方を再考する時期に来ている。

3 水俣元気村女性会議
水俣市農林水産課の呼びかけで、町と村の女性が一緒に元気な地域をつくろうと2001年7月に発足した。地産地消、地域通貨、村まるごと生活博物館など、その活動が水俣の地域ネットワーク、もやいづくりに深く関わるために小里が参加している。
地域通貨に関してはごんずい67、68号で特集を組んだ。

4 火のまつり
実行委員会には遠藤と荒木が出席してきた。実行委員会は6月から開催し、2000年度までの問題点や疑問をそのつどキチンと討論してきた。遠藤が副委員長になった。2001年度に解決すべき課題としては、まつり本体が昨年30分程度で終わってしまったこと。また終わった後の余韻を感じるひまもないほどに片付けを行ってしまったことを、どのように企画していくのかであった。
また今年からは、火のまつりにダゴをお供えし、式終了後に参加者で一緒に食べることを企画に入れた。なるべく多くの市民が足を運びやすいように考えてのことだった。もともと本願の会と寄ろ会に対立点が、祈りの質に重点をおくのか、より多くの市民に参加してもらうに重点をおくのかだったが、本願の会は会としては火のまつりから離れたので、寄ろ会の方針に沿ったものとなった。
2001年9月22日、お彼岸の中日に火のまつりは行われた。参加者は200人程度だった。水俣病患者の参加が少なかったことは、次年度の課題として検討される必要がある。
1時間程度のスケジュールだったが、やはり早くなり40分程度で終了した。その後ダゴを配ったり、カレーも食べてもらい、片付けも翌日にしたので昨年よりは落ち着いた時間が過ごせたように思う。

[ISO]
2001年9月に「グリーン購入とは何か-生活の中の化学物質の危険性に焦点を当てて」をテーマにISO研修会を実施した。相思社の歴史を振り返る学習会も兼ねて相思社生活部の活動を踏まえた上で、せっけん類・殺虫剤類・食品など個々の使用状況を点検した。全体的な環境マネジメントシステム構築については、エネルギー使用量の調査など事業活動における環境への影響の把握を行ったが、完成には至っていない。ISO14001に準拠して、且つ簡単なシステムの構築を目指したが、困難であった。

[物販]
1 ミカン
2001年度の販売量は温州・青島35.6トン、雑柑15トンであった。利益率(労賃+純利)を20%程度見込んでいたが、実際には15%にとどまった。理由は売り上げが思ったほど伸びず、一方で段ボールの在庫が増えたことなどがある。
水俣病センター相思社が取り組んできた低農薬栽培のレベルは、目新しいものではなくなっている。現在では公的機関による有機認証制度が進展し、また水光社などでも低農薬栽培の野菜や果実が販売されることが一般的になっている。消費者の選択としては、おいしい、価格が適当である、安心・安全を基準に購入している。水俣のみかんだから買うという層は減少している。

2 りんご
2001年度は生産者と協議し仕入値を改定した。紅玉の販売価格を改定し、他の品種と同価格にした。また、例年取り扱いのりんご4品種の他にりんごジュースを取り扱った。低農薬で果汁100%のストレートジュースであるため、反応はよかった。りんごジュースは1月にも購入者に案内を出し、約18ケースの注文があった。
販売数はつがる310ケース、紅玉247ケース、ジョナゴール265ケース、ふじ592ケース、りんごジュース97ケース+4本(586本)だった。

3 お茶
無農薬一番茶を例年よりやや少なめの140キロ(水俣茶50キロ・人吉茶90キロ)、他に無農薬紅茶490袋・ほうじ茶230袋を仕入れた。5月初旬に新茶の案内を193通をだした。そのうち注文があったのは54件で、その他には、HPの新茶案内やごんずいを見て注文する人も徐々に増えてきている。無農薬紅茶・ほうじ茶については、販売価格も手頃であり販売量も増加している。
お茶企画・考証館での販売量は、無農薬一番茶91㎏、無農薬紅茶284袋、ほうじ茶153袋だった。
2001年9月からのリンゴ企画・みかん企画での販売量は、無農薬一番茶200g・137袋(27.4㎏)、無農薬紅茶100g・179袋、ほうじ茶80g・52袋だった。結果的に予算を大きく下回り、無農薬一番茶は20㎏の在庫が残ってしまった。理由としては、新茶案内の発送後に人吉茶については、仕入れ値が1㎏あたり500円値上がりしたことや、年末の案内発送が遅れたこと、値段が手頃な紅茶・ほうじ茶のほうに流れたことが考えられる。2002年度は、無農薬一番茶については、販売価格の見直しが必要だろう。

4 書籍・ビデオ
出版社から少量ずつ仕入れ、在庫を抱えすぎないようにした。
考証館外の出店では、水銀国際会議の直販と県同教主催の「人権まつり」での委託販売を行った。水銀国際会議では、会期中メイン会場前で販売できた。『絵で見る水俣病』の再版は、出版社とのやりとりの遅れで間に合わせることができなかった。2002年度の早い時期に出す予定である。人権祭りでは参加者が少なく売り上げは伸びなかった。
2001年度は年度末の大量注文が少なかった。今後、年末に大学図書館等に書籍リストを送付するなどの営業活動が必要と思われる。

[甘夏園]
草刈り、剪定、堆肥蒔きはシルバー人材センターに委託した。収量は600キロ程度だったので、赤字ではない程度の事業である。

☆総務部
相思社設立28年目にして初めて、熊本県の立入検査が3月に実施された。県から水俣病対策課長以下3名の職員が相思社を訪れ、各種帳簿等を検査した。
帳簿や記録などの不足はなかったが、整理状況の不備が指摘された。これは以前に山下監事から指摘と共通する部分もあり、迅速に対応したい。
他に、文書で評議員会の設置にむけて具体案を出すようにとの改善命令があり、早急にその前段階としての運営協議会といったものを設置すると回答し、了承された。2002年度以降、理事会において具体案を策定し、実施していく必要がある。なお、今後は3年毎に立入検査がある。

[庶務]
庶務の仕事の目的は、相思社・考証館の活動を円滑に行えるようにすることであり、無駄な経費を削減することである。2001年度も様々な点で改善の努力をしてきたが、仕事が広範囲でかつ煩雑であり、今後とも改善の努力を続けていきたい。
今年度はパソコン用のディスプレイを1台購入した。印刷機も大きな故障をしたが、近年は使用頻度も小さくなってきていたので即時には購入せず、検討を重ねた。その結果、仕事の都合上どうしても購入すべきとの結論に達し、経費節減から中古の印刷機を購入した。
数年来調子の悪かったバン(ラルゴ)がクラッチ板の摩耗で動かなくなった。自動車はすぐさま必要なものであり、計画通り中古車のバン(ボンゴ)を購入した。
印刷機、バンともそれぞれOA機器購入積立、車両購入用積立を取り崩して購入に充てた。
電話も耐用年数(7年)を越え、すでに修理部品も保証されない状態にある。2001年度にコードレス電話機が使えなくなり、買い換えを検討したが、電池を交換することにより、とりあえずは使える状態に戻ったので、買い換えは見合わせた。2002年度以降に故障した場合、速やかな買い換えが必要となるだろう。
コピー機も耐用年数を大きく超えている。2ヶ月に1度の定期点検、故障の度の点検修理により著しい支障はきたしてはいないが、写りが悪くなっており、ここ1,2年のうちに買い換えが必要となるだろう。

[会計]
2001年度もパソコンを有効活用し、迅速な会計作業に努めてきた。その結果、その時々の財政状況が以前に比べると把握しやすくなっている。ただ、経理全体のシステムを改善しなければならない点もあり、まだまだ改善しなければならない部分があり、今後の課題となっている。
物販会計についても徐々に改善し、トラブル発生の時などに迅速に対応できるようになった。
2001年度から月ごとの予算を立て、毎月の決算と比較することにより、その時々の財政状況が把握できるように努めてきた。しかし、以前よりは財政状況の把握はできるようになったものの、技術的な問題が様々有り、その都度改善してきたが、まだまだ正確な把握ができない状態となっている。2002年度にはこの経験を生かしてより精度の高いものにしていきたい。

[管理・営繕]
相思社敷地及び元生活学校の草刈りを昨年に引き続きシルバー人材センターに依頼した。
2001年4月に考証館(小展示室・分析室)の外壁面がシロアリ被害により崩落し、修理を行いスレート壁とした。
管理人棟横の倉庫の床もシロアリ被害を受けた。床面に直接触れる部分がないように、スチール棚を購入し、窓の開け閉めを日常化するなどの対応を行った。
考証館の小展示室はシロアリ被害が甚大であり、天井や内壁の崩落も考えなければならない状態となっている。2002年度以降、早急に対応する必要がある。
旧管理人棟を新たに宿泊棟に変更したことにともない、居住環境を改善するため襖の貼り替え、カーテン・照明器具の設置などを行った。
事務棟横のプレハブ跡を花壇にし、時々の花を植えるようにしている。
2000年度からシルバー人材センターに敷地の草刈りを依頼しているが、小石を飛ばしてガラスを割るという事故が続いており、今後検討の必要がある。

[維持会員]
2001年度の維持会員増加数59人、維持会員の現在数655人、1年間の入金者数は526人であった。維持会員への特典(特製カレンダー送付、ごんずい送付、考証館入館無料、相思社宿泊無料、相思社企画割引)は従来どおり実施した。2002年度のカレンダーは「ごんずい69号」に使用した山本達夫氏と肥前博行氏の写真で「水俣百選」として構成した。
またごんずい67号送付時に、検討委員会答申を維持会員全員に送った。
懸案であった相思社パンフレットは神沢が担当し、水俣水銀国際会議の直前に完成した。

[ごんずい編集部]
2001年度の発行状況は、
64号(2001年5月発行) 暮らしのなかのモノ創り
65号(7月発行)      水俣病関西訴訟の提起したもの
66号(9月発行)      地域通貨は何をめざすのか
67号(11月発行)     水俣環不知火海調査モニターツアー報告
68号(2002年2月発行) 水俣元気村もやい通貨「結い」/水俣環不知火海調査・獅子島
69号(3月発行)      水俣百選
でおおむね計画通りであった。全体に発行が10日から2週間程度遅れ気味であることは反省点である。
69号はフルカラーで水俣の旭印刷で印刷した。印刷費は通常の倍程度であったが、カレンダー印刷も同時に発注したので費用を抑えることができた。また今年ごんずいの印刷費の経費削減した分がカラー印刷費用充当となった。
編集のねらいは地域再生であったが、水俣地域に偏ったことがこれまた反省点となる。調査研究や湯の児台地計画などと連動できるようになると、環不知火海も射程に入れることが可能になると考えられる。
相思社ホームページの閲覧者は年々増加している。ただし、毎年10月・11月の閲覧者が飛び抜けて多く、そのほとんどが小学校5年生だと思われる。
2001年度の閲覧数は5万6千件、2001年度末までの累積閲覧数は11万2千件となっている。閲覧者数の変化については別紙を参照。

《資料》水俣水銀国際会議に併せて行った相思社の事業
1.講演会・シンポジウム
(1)10月16日(火) 原田正純氏講演会
「水俣が映す世界-患者とともに歩んできた医学者の証言-」
19:00~21:30 水俣市公民館 司会:Timothy S. George氏
無料 参加者:約30人(うち外国人7人)
(2)10月17日(火) 宇井純氏・Timothy S. George氏シンポジウム
「社会的事件としての水俣病-その歴史と教訓-」
19:00~21:30 水俣市公民館 司会:堀川三郎氏
無料 参加者:約50人(うち外国人3人)
[広報]
国際会議主催者からの案内、チラシ配布(会議期間中繰り返し)、ホームページ(会議主催者および相思社)。17日にはほぼ広報が行き渡っていた。
[当日体制]
事務局通訳をKaren Colligan-Taylorさんにお願いした他、企画・運営総合事務局、運営責任者、受付、報道対応、主催者挨拶、質問対応、スライド操作、写真・録音・ビデオ記録、書籍販売、ツアー申込・会員寄付対応を配置し、職員ほぼ総出で行った。
[看板類]
吊り看板、会場入り口掲示、会場前立て看板
[当日資料]
①プログラム+講師・司会紹介、②講師小論・レジュメ、③アンケート用紙、④企画案内チラシ、⑤相思社パンフ英語版

2.パネル展示
10月16日(火)~19日(金) 文化会館玄関前(書籍販売と同位置)
無料
相思社の紹介:A1版1枚
みなまたグリーンツーリズム:A2版1枚+A1版1枚
水俣湾埋立地について:A1版2枚

3.書籍販売
10月16日(火)~19日(金) 10:00~17:00
文化会館玄関前(パネル展示と同位置)
長机2×2の販売及びパンフレット用スペース+長机1のデモスペース
[実施事項]
・水俣病に関する英語書籍4点、英語ビデオ1点、英語CD-ROM2点および日本語書籍の販売
・ビデオのデモ上映、CD-ROMのデモ操作
・相思社パンフレット、相思社企画の案内チラシ、書籍案内チラシ等の配布
・ツアー申し込み受付
など
[販売数・売上額等](価格は税込)
英語アイテム 販売数: 77 売上額:329,600円 粗利:117,361円
日本語書籍他 販売数:106 売上額:144,935円
----------
総計 474,535円  (注 受託販売含む)

4.水俣病事件の現場を巡るツアー
10月19日(金)16:00~18:30 案内人:弘津
参加費:2000円
参加者:16人(外国人9人、日本人7人)+スタッフ:5人
[広報]
講演会・シンポジウムと同様
[当日資料]
①スケジュール+場所の紹介+George氏作成簡易年表、②地図、③10の知識英語版、④相思社パンフ英語版

5.収支
(1)収入
講演会・シンポジウム    0千円
パネル展示         0千円
書籍販売        11万7千円(英語アイテムの粗利)+α
ツアー          3万4千円(参加料)
共通          10万1千円(寄付)
---------------------
合計          25万2千円+α
※書籍販売は粗利計上の上、日本語書籍の分は算入していない
(2)支出
講演会・シンポジウム  24万8千円(講師謝金、交通宿泊費など)
パネル展示        4万7千円(翻訳料、パネル代)
書籍販売         1万5千円(昼食代)
ツアー          8万0千円(講師謝金、貸切バス代など)
共通          22万9千円(George氏交通費など)
---------------------
合計          61万8千円
(うち助成金対象53万7千円、相思社負担8万1千円)
※書籍販売は、収入で粗利計上したため、支出に仕入費を含まない。

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