石牟礼道子さんのところへ行きました。

昨日は娘と一緒に石牟礼道子さんのところへ行きました。

私は彼女に会う度に自分の原点を取り戻し、大切なことに気付きます。私にとって石牟礼さんは、
溝口秋生先生と同じに大切な存在です。

今担当している患者相談業務は、以前は悩みの尽きない仕事でした。水俣病は治る病気ではなく、差別の解消はすぐにはできず、時には水俣病以外のヘビーな相談もあり。苦しい社会を反映している気がします。私にはどれも解決できないことなのに、なぜ相談に来るのか。

前に、患者に対して何もできない自分の不甲斐なさに泣きたくなることがあると、石牟礼さんに呟いたことがあります。すると彼女は、「あなたは悶え加勢しよるとね。昔水俣ではようありよりましたよ。人が苦しみよらすとき、その人の家の前をオロオロと行ったり来たり。それだけでその人は少しだけ楽になる。悶え加勢つづけなさい」と言い、私自身が楽になりました。いま、この仕事を天職だと感じます。小さな活動の積み重ねから、もうひとつのこの世、「安心して迷惑をかけあえる社会」へ向かっていけると信じています。
何かができるようになるのはもちろん大切だけど、それまでは悶え加勢する自分でいようと思います。

思春期に入り悩みの出てきた娘にとって、石牟礼さんの言葉に触れたことは実りでした。苦しい社会を生きていく中で、これから更なる悩みを持つであろう娘に、私を含む沢山の「居場所」を作っておきたいです。お金という財産を残してやれる気もやる気もしませんが(笑)、逃げ場や居場所はお金には変えられない財産になると思います。

子を育てるという学びの真っ只中にいる今、本当に色々あります。泣くこともあるけど「色々」は、きっと娘と私の糧になる。すべての出来事は必然です。一度しかない娘との時間を後悔のないように、精一杯に過ごしていこうと思います。
たくさんの人に支えられて私たちがあるんだと、たくさんのありがとうを感じた日でした。

写真は石牟礼道子さんからサイン入りの「あやとりの記」をもらった娘です。

今日は理事会です。「今後の相思社のあり方を考える委員会」の報告の時間をもらいました。これまでの活動報告や、私たち若手がつくりたい相思社を提案します。私は相思社を患者やすべての生きづらさを抱える人たちの拠り所になるような相談所として確立させたいと思っています。物販や案内からの提案もあります。私たちの勝手な言い分もありますが、理事の皆さんにしっかりと叩いてもらいたいと思います。

もう一つのこの世に向かって。

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