先週(6/21)、水俣病患者語り部の緒方正実さんと二人で水俣病の人権啓発に行ってきました。(熊本県球磨郡教育事務所にて)
およそ50人の小中学校の教員の方たちを目の前に講演を行いました。
相思社に入って4年、修学旅行生などへの案内はしていますが、私にとってこういった形での講演をまだ二回目(前回の講演は元々繋がりがあるところでさせて頂きました)。
ですから、緊張と不安の度合いが高かったですが、とにかく水俣病の現状を伝えたい、少しでも水俣病に関心を持ってもらいたい、そして伝えてほしい思って臨みました。
まずは水俣病センター相思社と自身の紹介をした後、水俣病事件の概要の説明をしました。
内容は、チッソという会社のこと、水俣病公式確認、水俣病の拡がり、放置された12年間、それによって生まれた様々な被害、社会的弱者や少数者・出身者に対する差別、チッソ擁護の歴史、水俣病患者の現状、水俣の地域社会の現状、などなど。
差別偏見などについては自身の体験(私は水俣出身です)を交えながら話しました。
実際にお話をしてみると、乗りのいい先生たちで、対話形式での講話も成立しました。
こちらから質問を投げかけて答えてもらうと、場が和んで一体感が増すことも分かりました。そして話しながら、自分の考えもまとまっていきます。
毎日患者担当をして相思社に引きこもっているのですが、これからどんどん外に出て現場の状況を伝えていきたい、いかなくちゃと改めて思いました。
もうこわくありません。球磨の先生達のおかげで、これで大丈夫、どこへ行っても話ができる、という、自信がついた気がします。
報告書は書いたのですが、それだけではなくて、これから、この講演を次に繋げていく努力をしていきます。
そして、緒方さんにご自身の経験をお話しいただきました。
語り部の方にとって、質問は「自分の話は役に立ったのか」「みんなどう感じたのか」のバロメーターです。しかし、質問する側にとって、何の前置きもなく「質問はありませんか」と問われると戸惑うものです。
今回は事前に「質問のコーナー」を設けていることと、なぜ私が緒方さんの話を聞いてもらいたいのかを話した上で、緒方さんにお話いただきました。
緒方正実さんのお話は、聞く度に内容が少しずつ変わっていきます。
ご本人も仰っていることですが、話をしながら自分の中で発見があるそうで、その発見が次に話をするときに活きていくのだと思います。
今回のお話の中では、ぶらぶら問題(緒方さんのご家族の中で水俣病によって仕事ができないでいる方のことを、熊本県が水俣病審査の書類に「ぶらぶら」と記載していたことを正実さんは明らかにしました)や、成績証明書の無断使用(これも水俣病審査に使われたものです)など人権に関する話が飛び出し、もっと聞きたかったです。
質問も被差別部落に関することや、水俣病の差別に関することなどが出てました。
私たちとしては、今回の講演はとても達成感があって、帰りの車の中でも「どうやったら次につながるか」「伝え方の工夫をしていこう」という話で盛り上がりました。
そしてなんと翌日、講演を聴いてくださった先生から、学校に来てほしいという講演依頼が入りました。
というわけで、8月には球磨郡多良木町の黒肥地小学校へ行ってきます!
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